ITF交通アウトルック2023』は、2050年までの世界の交通需要と二酸化炭素(CO2)排出量に対して、さまざまな政策措置が及ぼす影響を検討しています。この分析は、旅客と貨物のあらゆる交通モードにわたる移動を対象としています。特に、都市の居住性を高める交通政策に焦点を当てており、インフラの投資決定とそれに対するさまざまな政策シナリオの影響、政策の影響における地域差についても焦点を当てて探求しています。本報告書の分析は、ITFの交通モデルでシミュレーションした交通の将来に関する二つのシナリオに基づいています。「現在の目標シナリオ」は、交通の脱炭素化を目指す政策が現在の道筋に沿って継続されると仮定し、今後30年間の交通需要、CO2排出量、その他の側面への影響について検討しています。「高い目標シナリオ」は、交通セクターの脱炭素化を加速させることに重点を置いた政策とその影響について検討しています
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- 209
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Table of Contents
- 序文 3
- イントロダクション 4
- 謝辞 5
- 読者の皆様へ 11
- 『ITF交通アウトルック2023』の読み方 11
- 用語集 12
- 報告地域 14
- 参考文献 14
- エグゼクティブ・サマリー 15
- 背景 15
- 結論 15
- 政策提言 16
- 今後のモビリティとインフラについての包括的戦略を策定する 16
- クリーンな車両への移行を加速する 16
- 最も効果的な場所でモードシフトと需要管理の政策を実施する 16
- 政策を評価する際には、都市部への追加的便益を考慮する 16
- 新たな保有車両の外部費用を取り込むために自動車税を改革する 16
- 1 交通のアウトルック:迅速な復興と新たな不確実性 17
- パンデミック後の復興:新たな不確実性の本格化 19
- 過去を振り返る:Covid-19が交通に及ぼした影響 20
- パンデミック後の復興は予測より速いものであったが課題が残る 20
- 国際貿易と貨物輸送は本質的に関連している 21
- Covid-19は貿易政策及び交通政策を変えた 22
- 次の課題に対応する:不確実性の時代における脱炭素化 23
- エネルギー市場における混乱は脱炭素化に影響する可能性がある 24
- 侵略に起因する経済的不確実性は交通セクターにも影響する 24
- 水平線を見渡す:今後の交通需要を促進するものは何か? 28
- 人口増加は交通需要の増加を意味する 28
- 交通需要の増大は経済成長と密接に関係している 29
- 脱炭素化目標:パリ協定に基づく行動の進展 30
- 野心的な目標の達成には国際協力が必要となる 32
- 優先順位付け:交通の脱炭素化以外に重要なことは何か? 33
- 地域の接続性を高めることが、強靭性と十分に機能する市場を促す 34
- 公共交通、シェアモビリティ及びアクティブトランスポートの向上が脱炭素化を加速させる 35
- 参考文献 37
- 2 交通の脱炭素化:将来のシナリオ 44
- 政策的目標を高める:交通の中心的役割 46
- 交通の脱炭素化:将来に向けた二つのシナリオ 47
- 「現在の目標シナリオ」:既存のコミットメントの影響予測 50
- 「現在の目標シナリオ」における都市部旅客需要とモード選択 50
- 「現在の目標シナリオ」における非都市部旅客需要とモード選択 50
- 「現在の目標シナリオ」における貨物需要とモード選択 51
- 「現在の目標シナリオ」におけるよりクリーンな保有車両への移行 51
- 「高い目標シナリオ」:脱炭素化のために必要な道筋 52
- 「高い目標シナリオ」における都市部旅客需要とモード選択 52
- 「高い目標シナリオ」における非都市部旅客需要とモード選択 53
- 「高い目標シナリオ」における貨物需要とモード選択 53
- 「高い目標シナリオ」によるよりクリーンな保有車両への移行 54
- つながりを断つ:活動を増やす一方で排出量を減らす? 63
- 旅客需要は伸び続ける 64
- 旅客輸送の排出量は需要と同じペースでは増加しない 65
- 経済成長に伴って貨物輸送需要は増加する 66
- 貨物輸送による排出量は、特に都市部で増加する 68
- 参考文献 70
- 3 交通需要管理:魅力的な選択肢の提供 71
- 政策介入:措置を適切な輸送活動タイプに合わせる 73
- 都市交通:持続可能性を最も魅力的な選択肢とする 75
- 都市人口の増加につれて、都市のスプロール化のリスクも高まる 75
- 統合型の交通・土地利用計画は持続可能な交通手段を一層実行可能にする 77
- 持続可能な選択を効果的に促すには、様々な政策的アプローチを組み合わせる必要がある 80
- 改善されたより安全な都市部道路は、アクティブモビリティの促進に役立つ 83
- 公共交通は魅力的であり、かつ十分な資金供給を受ける必要がある 84
- シェアモビリティとマルチモーダル移動サービスは交通網を強化することができる 87
- 都市物流は、戦略的計画の一部であるべき 89
- 地域的な移動:農村人口の自動車依存に取り組む 92
- 当面の間、地域的な移動において自動車は欠かせない 93
- 国際移動と都市間移動:所得が増加すると移動も増加する 94
- 国際移動及び都市間移動におけるモードシフトの可能性は、トリップ距離次第である 96
- 非都市部の貨物輸送:効率と持続可能性を向上させる政策 99
- エネルギー移行には分野横断的な利点がある 99
- 高度道路交通システムと大容量車両が効率を向上させる 100
- 各種モードに渡るプライシング措置に対し、一貫したアプローチを採用する 100
- 政策提言 104
- 拡大する都市における将来のスプロール化を回避するため、都市開発を長期的な視点で捉え、交通計画と土地利用計画に統合的アプローチを採用する 104
- 持続可能な選択を奨励するために、投資、プライシング、アクセス制限または空間制限を組み合わせた総合的かつ持続可能な都市交通計画を採用する 104
- マルチモーダルかつ持続可能な交通網を支援する 104
- 一貫性のある方法でプライシング措置を組み合わせ、持続可能なモードに資金を割り当てる 105
- 参考文献 106
- 4 よりクリーンな保有車両:交通脱炭素化の鍵 111
- 車両と燃料の改善:今すぐ行動を起こす 113
- クリーンな道路車両への移行:不可欠かつ達成可能 114
- 乗用車の「ICEピーク」が間近に迫っている 115
- 集団大量輸送の保有車両は、低排出車を前進させる機会を与える 117
- 貨物輸送活動には静かな低炭素革命の余地がある 119
- 充電及び燃料補給インフラ:成功を左右する 121
- この先の道のり:船舶及び航空機の脱炭素化の課題 122
- 持続可能な航空燃料が、排出量削減の柱になる 124
- 代替低炭素燃料を利用できることが、海運にとっては極めて重要 128
- 排出削減が困難な分野の脱炭素化には、プライシングと規制が重要な役割を果たす 129
- 違いに注意:地域格差が脱炭素化を遅らせる理由 131
- 政策提言 134
- 全ての保有車両を脱炭素化するため、セクター横断的に目標を定め、協力する 134
- インセンティブの対象を定め、排出量の多い車両のアクセスを制限して、ゼロエミッション道路車両の導入を増やす 134
- 導入ペースを速めるために公共充電インフラを整備する 134
- プライシング措置を利用して、代替低炭素燃料の商業的実現可能性を高める 135
- 参考文献 136
- 5 住みやすい都市:交通の脱炭素化がもたらすより広範な便益 140
- より健康的な都市のためのよりクリーンな空気:交通が公衆衛生に与える影響 142
- 交通の脱炭素化政策は、都市の汚染物質の排出を削減できる 142
- 低排出車両は解決策の一部に過ぎない 144
- より安全な道路の設計:交通安全と脱炭素化との関連性 145
- 交通弱者は高まるリスクに直面する 146
- 野心的な政策は都市を変容させ、あらゆる道路利用者にとっての安全性を向上させる 149
- リスク低減には対象を定めた交通安全政策が必要 150
- 都市を手の届く範囲に:アクセシビリティ向上のための交通政策 150
- 公共交通の移動時間を短縮することが、各種機会へのアクセスを拡大する 150
- 交通政策、アクセシビリティ、都市計画は密接なつながりがある 153
- 交通手段のミックスが居住性を高める 154
- 近年のライフスタイルの変化は、アクセシビリティと居住性に様々な影響を及ぼす 156
- 全ての人にとっての居住性:公正かつインクルーシブな交通の促進 157
- 公正な交通政策は、過去の不公正に対処する 157
- 交通手段の手頃さは公正性にとって極めて重要な要素である 158
- インクルーシブな社会のための交通 160
- 都市空間を人間優先に:空間効率の高い交通システムの構築 160
- 野心的な脱炭素化政策は、渋滞を減らし、交通による空間消費を制限できる 160
- 交通のための空間が減れば、公共アメニティのための空間が増える 164
- 政策提言 166
- 持続可能な交通への移行を促し、公害を減らすために、自家用車に代わる魅力的な代替交通手段を創出する。 166
- 新たな交通政策、投資、プログラムを展開する際には、公正性への影響に配慮する。 167
- 都市設計においては車両ではなく人間を優先し、全ての道路利用者にとっての安全性を向上させる。 167
- 汚染物質の排出量を削減する野心的目標を設定し、目標達成のための措置を講じる。 168
- 参考文献 169
- 6 将来への投資:交通脱炭素化の財政的影響 177
- よりクリーンな交通への投資:脱炭素化はさらに費用がかかるのだろうか? 179
- インフラニーズは国と地域によって変わる 179
- 中核インフラの投資ニーズは、「高い目標シナリオ」の下では小さくなる 181
- 「決定して供給する」:インフラの計画及び投資に対する新しいアプローチ 183
- インフラ投資プロファイル:資金はどこに費やされるのか? 183
- 投資優先モードは地域によって異なる 188
- 電気自動車の充電設備:脱炭素化に不可欠な新しいネットワーク 191
- 乗用車用の充電網展開が継続する一方、大型車両のための充電網展開は加速する必要がある 191
- 電気自動車充電網拡大への政策アプローチは多様である 193
- 燃料税:改革を通して税収不足を回避する 194
- 自動車税に対するアプローチは地域によって大幅に異なる 195
- 各国政府は脱炭素化戦略に税制改革を含める必要があるだろう 198
- 新しい税は、税収の減少に対処し、気候変動対策への投資を支援できる 200
- 政策提言 201
- インフラ計画には、対応型の「予測して供給する」アプローチではなく、ビジョン主導型の「決定して供給する」アプローチを採用する 201
- 電気自動車の充電インフラに必要な大幅な追加投資を考慮する 201
- 燃料物品税を通じて自動車使用に課税する現在の方法を改革し、距離制プライシングを導入する 202
- 参考文献 203
- Annex A. 統計付属書類 208